11.6.24〜9.9/ 「夏の特別ダイヤ」実施


3月11日に発生した東日本大震災により発電所が多数使用不能になったため、 空調等で電力需要の高まる夏季(当初7月1日〜9月22日の平日9時〜20時)は鉄道を含めた東京電力管内の大口需要者に対して 昨年比15%軽減を義務づける電力使用制限令が経済産業省より発動しました。 軽減した場合に影響が大きい一部産業については緩和措置がとられており、鉄道については平日12時〜15時のみが対象になっています。

このため、JR東日本では「夏の特別ダイヤ」と称して南武線を含めた首都圏在来線の運転本数が比較的多い路線を対象に日中時間帯の減便を行いました。 当初期間は6月24日〜9月22日の予定でしたが、電力使用制限令の解除が需給状況に余裕があるとして9月9日に前倒し(8月30日発表)になったため、 合わせて期間も9月9日までに短縮されました(9月2日発表)。 なお、JR東日本では私鉄とは違い自営の発電所があるため一部対象外ですが、東京電力へ電力融通を行うために減便するとのことでした。

南武線では平日の概ね9時〜16時台について、快速運転の取りやめと減便を行い、川崎〜登戸間の快速停車駅では毎時8本→5本、 快速通過駅と登戸〜立川間では毎時6本→5本となりました。土休日は終日通常通りです。 昨年比では運転率約85%ですが、4月から快速電車が運転されていたため、川崎〜登戸間の快速停車駅では運転率が約60%という「夏の特別ダイヤ」実施路線では最大の減便率となっていました。 南武支線・鶴見線については元より本数が少ないためか終日減便の対象外です。 一部私鉄では企業の土休日への勤務日変更に対応して土休日の増発や、就業時間前倒しといった独自の取り組みに対応して早朝の増発を行っていましたが、 南武線ではこれらの措置は行われていません。

8月後半になってからは電力需給状況に余裕があったためか、一部路線で運転本数の見直しがあり、南武線では8月22日より全線で各駅停車のみ毎時6本に増発されました。


なお、以下の運転状況等は時刻表や駅掲示を元に当サイトと協力者で独自に調査・推測したものなので間違いや見落としがある場合があります。ご了承下さい。


6月24日〜8月22日の南武線

概ね9時〜16時台が川崎〜立川間で各駅停車のみ毎時5本の完全な特別ダイヤとなり、2007年3月ダイヤ改正前と同じ本数になりました。 日中の運用編成数は15本→10本となり、5本は余分に入出庫(1本矢向、2本武蔵中原、1本宿河原、1本稲城長沼と思われる)することになりますが、 朝夕は通常ダイヤのため、移行期間にあたる朝ラッシュ後と夕ラッシュ前の時間帯は一部特殊な運転形態が見られました。 また、運用番号は通常と違い、折り返し時や入庫・出庫の際の変更が多数行われています。

駅時刻表自体は各駅の掲示や、実施後しばらくしてからJR東日本のウェブサイトに掲載されていますが、 列車番号等の詳細については7月20日発売の東京時刻表8月号に掲載されていました。




通常は8時台の843Fのみである武蔵溝ノ口行きですが、9時台にも武蔵溝ノ口行きの9939Fが登場。通常ダイヤでは939F立川行きです。(11.6 尻手)





電光掲示板表示。(11.6 尻手)





武蔵溝ノ口で3番線に到着後は宿河原まで回送され、ホーム側の側線に留置されます。(11.7 宿河原)





通常日中は写真で右側の1本のみ留置ですが、2本留置となります。(11.7 宿河原)





立川側踏切から撮影。(11.7 宿河原)





15:24頃に出発し、武蔵溝ノ口15:29発川崎行きの9512Fとなります。(11.7 宿河原)





武蔵溝ノ口まで回送中。(11.7 津田山-武蔵溝ノ口)





831F稲城長沼行きが09:09に到着。通常ダイヤでは引き上げ線で折り返して09:39発930F川崎行きになりますが…(11.7 稲城長沼)





そのまま引き上げ線奥の留置線に留置されます。(11.7 稲城長沼)





通常1649F稲城長沼行きの折り返しとなる1648F川崎行きは、稲城長沼留置編成が充当されます。(11.7 稲城長沼)





この写真では通常の折り返しと違いが分かりませんが、留置線より出庫して1番線に入線。(11.7 稲城長沼)





武蔵中原15:21発9509F立川行き。通常は立川の表示で出庫するのは車両交換時くらいと思われます。(11.7 武蔵中原)





3番線で発車待ち。(11.7 武蔵中原)





武蔵中原17:09着となる9623Fは上りホーム中線の2番線に入線。(11.7 武蔵中原)





折り返して武蔵中原17:34発9722F川崎行きになります。(11.7 武蔵中原)





武蔵溝ノ口側線は2本留置で、登戸2番線からの回送で出入りすることは変わりませんが、 出入りする運用が変更されています。 通常ダイヤでは823F、933Fの後に回送されて留置のところ、823F、9861Fの後に留置。 通常ダイヤでは1632F、1722Fに充当されるところ、1652F、1746Fより充当。 写真は本来1653Fの折り返しである1652Fに充当するための武蔵溝ノ口側線から登戸への回送。(11.7 宿河原)





通常は日中時間帯に走らない33F、59Fが日中運用に入っています。写真は9923F。曇りのため光線状態で判別できないのが残念。(11.7 武蔵溝ノ口-武蔵新城)





通常は日中時間帯に走らない33F、59Fが日中運用に入っています。 通常は早朝の559Fしか立川行きに入らない59Fの9959F。(11.7 武蔵新城-武蔵溝ノ口)





米タンは上り下りとも概ね通常通りの時間の運転でした。(11.7 矢野口-稲田堤)





夜間に行われた国府津車両センターにて車輪転削後の中原電車区への回送(11.8.23 国府津 撮影:ほりぽん氏)


その他、通常より遅い時間の武蔵中原行き→中原電車区入庫と川崎行き→矢向側線留置及び、早い時間の出庫が見られました。 (ただし矢向出庫は9622Fで通常通りの1626Fの次)
大宮総合車両センターへの入出場回送は若干時間が変わったようです。
国府津車両センターへの回送は国府津からの戻りが夜間になったようです。


8月22日〜9月9日の南武線

電力需給状況に余裕があったためか、8月22日より南武線では川崎〜立川間で各駅停車のみ毎時6本(8月17日発表)となり、 快速運転開始前と同じ本数になりました。

日中時間帯が完全に組み直した特別ダイヤだった従来と異なり、今回は川崎〜登戸の区間運転の運休と、 快速の代わりに臨時の各駅停車が運転される形態となっています。 列車番号は快速の代わりの各駅停車と臨時の入出庫以外は通常通りですが、そのため折り返し時には度々運用番号が変わっています。 毎時6本ですが折り返しが通常より長い10分間隔のため、日中の運用本数は13本となっており、 通常の15本では余分になる2本は若干遅い時間に武蔵中原行きで入庫(9047F、9033F)し、若干早い時間に武蔵中原始発川崎行きで出庫(9514F、9618F)します。

今回の時刻表についてはJR東日本のウェブサイトにて東京時刻表並みの詳細が公開されていました。

なお、当初電力使用制限令に合わせて9月22日までの予定でしたが、電力使用制限令の解除が9月9日に前倒しになったのに伴い、 9月9日までとなりました。(9月2日発表)




入庫のため遅い時間の武蔵中原行き(川崎10:03発)となる9047F。(11.8 平間)





武蔵中原行き入庫2本目の9033F。本来の33Fは933F登戸行きの後に武蔵溝ノ口側線留置となっており、この列車がなぜ33Fなのかは不明。(11.8 武蔵中原)





遅い時間の武蔵中原行き表示。(11.9 尻手)





遅めの時間に入庫したあとは、午後の早い時間に2本が武蔵中原始発川崎行きとなります。写真は1本目の15:47発9514F(11.9 武蔵中原)


その他

・南武線では毎時5本の等間隔に組み直す形で減便を行っていましたが、武蔵野線等では通常ダイヤから一部を間引くのみで、極端に間隔が空く場合がありました。
・他の路線でも総合車両センターへの入出場や配給輸送を夜間や土休日にした場合があったようです。
・武蔵野線、中央・総武緩行線は8月29日で特別ダイヤを終了し、通常運転になりました。



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走れ我らが南武線